公共職業訓練(委託訓練)受講生 RPA(ブラウザとの連動)
近年、業務の効率化や人手不足の解消を目指して、RPA(Robotic Process Automation)と呼ばれる技術が多くの企業で導入されています。RPAは、これまで人が手作業で行っていたパソコン操作を自動化するもので、特に定型的な業務においてその効果を発揮します。
今回実施している訓練では、Microsoft社の無料ツール「Power Automate Desktop」を用いて、実際の業務に近いかたちでRPAの基礎から応用までを学んでいます。ここでは、ブラウザ操作とExcelとの連携を中心に、その活用例をご紹介します。

■ ブラウザの起動方法と工夫
まず最初に行うのは、ブラウザの起動です。RPAでは、アクションと呼ばれる操作命令を並べて処理の流れを作ります。この「アクション」をうまく組み合わせることで、プログラミングの知識がなくても、マウスのクリックやキーボード入力を再現する「ロボット」を作ることができます。
ただし、すべてのブラウザが「起動アクション」に対応しているわけではありません。一部のブラウザでは、アクションからの直接起動ができないため、次のような工夫が必要です。
- デスクトップ上のブラウザのショートカットをクリックさせる
- 画面の座標情報を指定してボタンを押させる
- 「アプリケーションの実行」アクションでブラウザの実行ファイルを直接呼び出す
これらの方法を使い分けることで、様々な環境に対応した自動化が可能になります。
■ Webページ上での操作を自動化
ブラウザが無事起動したら、次はWebページ上の具体的な操作に進みます。たとえば、以下のような操作も自動で行うことができます。
- ログイン画面でのユーザー名・パスワードの入力
- ドロップダウンリストからの選択
- チェックボックスやラジオボタンのクリック
- 「次へ」や「検索」などのボタンの操作
このように、画面上の各要素を正しく認識させてアクションに組み込むことで、人が行っている操作とほぼ同じ動作をロボットに任せることが可能です。
ただし、近年のWebサイトには、不正アクセスや自動化防止を目的とした「ボット対策」が施されていることがあります。その場合は、すべての操作が自動化できるとは限りませんので、事前に確認が必要です。

■ ExcelデータをWebページへ転記する
企業では、Excelに入力された情報をWebシステムへ転記する作業が頻繁に発生します。これを手作業で行うと、入力ミスや時間のロスが発生しがちです。
Power Automate Desktopでは、Excelファイルからデータを読み取り、それをWebページに自動入力させることができます。主な流れは以下の通りです。
- アクションでWebページを開く
- 対象となるExcelファイルをアクションで開き、必要なデータをメモリに読み込む
- 「テキストフィールドに入力」アクションを使い、Webページに順番に転記
- 条件分岐やループ処理を用いて、転記内容を柔軟に制御する
これにより、10件でも100件でも、同じルールで正確に転記を行うことができます。
■ WebページからExcelファイルへの取り込み
逆に、Webページ上のデータをExcelへ記録したいというニーズも多くあります。たとえば、業界ニュース、製品価格、顧客情報など、必要な情報を定期的に収集・記録する作業です。
このような処理も、RPAを使えば効率的に実現できます。Webページ上のテキストや表を取得し、指定した形式でExcelに自動入力させることができます。PDFとして印刷保存するアクションと組み合わせれば、業務報告や記録保存にも応用できます。

■ RPA学習のメリットと可能性
今回の訓練では、実際に手を動かしながらRPAの使い方を学ぶことで、「業務の流れを分析し、どこを自動化できるかを考える力」も身につけていきます。
RPAは単なるツールではなく、働き方を変えるための手段です。反復作業から解放されることで、人はより創造的な仕事に集中できるようになります。
「RPAを知る・使う・修正する」この3つの力を身につけることで、将来の働き方に新しい可能性が広がります。

■ ご興味のある方へ
もし、RPAに興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お声がけください。
初心者の方でも安心して始められるよう、丁寧なサポートをご用意しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。