オムニチャネルとは?事例から学ぶ実施のポイント
EC業界において「オムニチャネル」という言葉が話題になってから数年、最近ではオムニチャネルの概念は広く浸透しました。
改めてオムニチャネルとはなんぞやというところを整理すると、これまで分断していたECサイトや実店舗といった販売チャネル、さらにソーシャルメディアやその他のコミュニケーションチャネルまで統合し、これまでにない新しい購買体験を提供する取り組みです。
単にいろいろな場所で商品が買えるに留まらず、いろいろなチャネルで顧客へ体験を提供することがオムニチャネルです。
オムニチャネルが誕生したのは2011年、米国百貨店のMacy’s(メイシーズ)がその始まりだとされています。Macy’sは継続的に続いた営業不振から脱却するための事業戦略として、オンラインとオフラインの統合を図り、小売業における深刻な問題である「ショールーミング化」を防ぐためにオムニチャネルに取り組みました。
その結果としてECサイトと実店舗の在庫統合により在庫数を大幅に圧縮し、消費者に新しい購買体験を提供したことで売上向上にも成功しました。
今回は、国内でのオムニチャネル事例をご紹介し、その上でオムニチャネル実施のポイントをご紹介します。
国内オムニチャネル事例3つ
HIMARAYA
スポーツ用品販売を展開するHIMARAYAは2017年9月、店頭に設置したタブレット端末を利用して実店舗からECサイトへ誘導する仕組みを取り入れています。実店舗にて消費者が求める商品が無かった場合は、多店舗に在庫確認をして取り寄せるというのが一般的な販売方法でした。
しかしそれでは、商品が消費者の手元に届くまでに1週間程度の時間がかかってしまいます。これでは購入を諦めてしまう消費者が多いということで、始まったのがHIMARAYAのオムニチャネル化です。
消費者が店舗に設置されたタブレット端末から多店舗の在庫状況を確認でき、その場で注文できます。商品は最短で翌日には消費者の手元に届くので、これまで取りこぼしていた消費者も囲い込むことができます。
もともと同社のECサイトでは、注文した消費者の住所に近い店舗から商品を発送するという仕組みを採用していたため、在庫統合の必要がなくスムーズにオムニチャネル化を実施できたのです。
店頭のタブレットを設置したことで消費者はわざわざスタッフに在庫確認をしなくてもよいですし、それによって接客効率が上がったという副次効果も発生しています。
JINS
眼鏡ブランドのJINSではこれまで、セキュリティの観点から消費者情報を実店舗で保有しないという取り組みを実施してきました。しかしそれは、同社が持つ100万人以上の消費者情報と実店舗での消費者情報を紐づけることができず、リアルでの効果的なマーケティングを実施できない状況でした。
しかし 2017年11月から国内全店舗でオリジナルアプリの利用を促し、アプリ上で顧客データを登録してもらい通販サイトとの連携を進めるという取り組みを始めました。
JINSでは度付き眼鏡だけでなくパソコン用眼鏡などの販売も行っており、度数調整が不要な商品に関してはECサイトでの販売が事業成長をけん引してきました。ただし近年になって変化が生じ、度付き眼鏡に関しても実店舗同様の販売数を持つようになってきたのです。
これは店舗での商品購入時に渡す保証書の購入番号をECサイトに入力することで、度数情報が表示されるといった仕組みを構築したため、度付き眼鏡をECサイト上で購入するという変化に繋がりました。
消費者はアプリに自身の情報を登録しておくことで、来店時に度数情報などを調べる必要が無くなり、再来店時の商品購入がスムーズに進みます。
Omni7
セブン&アイ・ホールディングスが実施するオムニチャネル戦略であり、次のグループ各社が同じECサイトに参加しています。
・セブンネットショッピング
・イトーヨーカドー ネット通販
・西武・そごうのe.デパート
・アカチャンホンポ ネット通販
・ロフトネットストア
・セブン‐イレブンのお食事お届けサービス セブンミール
・イトーヨーカドー ネットスーパー
・デニーズお届けサービス
・セブン旅ネット
Omni7の特徴は全国2万店舗以上もあるセブンイレブンの中から、好きな店舗で商品を受け取れるという点です。さらにイトーヨーカドー、西武、そごうなどの店舗でも商品の受け取りが可能です。その結果として2017年2月期決算時点で前期比10.8%増の976億6000万円の売上を達成しています。
Omni7では各社ECサイトのID一元化を図っているので、一つのIDですべてのECサイトと店舗にアクセスできるというが特徴です。従来オムニチャネルはオンラインとオフラインの統合に注目が集まっていましたが、グループ各社のECサイトを統合するという新しいオムニチャネルによって様々な施策が展開できます。
オムニチャネル実施のポイント
では、ここまでご紹介した事例を踏まえてオムニチャネル実施のポイントをご紹介しましょう。
1)ECサイトと実店舗の在庫統合を図る
オムニチャネルの元祖であるMacy’sでも、まず取り組んだのがECサイトと実店舗の統合です。消費者にとって新しい購買体験を提供するためには、オンラインとオフラインを意識させないサービスが必要です。そのためにはまずECサイトと実店舗の在庫統合が欠かせないでしょう
言い換えると、HIMARAYAのように最初からECサイトと実店舗の在庫を統合しているような企業では、積極的にオムニチャネル化に取り組むべきでしょう。
2)消費者情報の紐づけ
ECサイトから取得したオンラインの消費者情報と、実店舗から取得したオンラインの顧客情報を紐づけると様々なサービスを提供できます。たとえばECサイトで顧客が気になっている商品を、実店舗に来店した際に把握して提案したり、その反対に実店舗からECサイトに情報を流すということも可能です。
消費者情報の紐づけにはJINSのようにアプリを活用して消費者の利便性を高めて、そこから情報収集を行います。
3)消費者の利便性を考えた購買体験
オムニチャネルとは単なるオンラインとオフラインの統合ではなく、あくまで消費者の利便性を高めることで事業成長を促すという取り組みです。そのため、オムニチャネルは企業の利己的な施策になってはならず、消費者の利便性を慎重に考えた上で様々な施策を展開し、新しい購買体験を提供しなければなりません。
かつ、その購買体験がしっかりとビジネスに繋がるような施策ならばオムニチャネルは成功します。
4)あらゆるチャネルの統合
オムニチャネルを実施する際はECサイトと実店舗だけでなく、あらゆるチャネルの統合も検討しましょう。ソーシャルメディアやメルマガなど、それらのチャネルまで統合することで販促活動だけでなく、ブランディングや顧客ロイヤリティ向上など様々な施策に繋げることが可能です。
まとめ
これまでオムニチャネルは資本力があり、かつIT人材リソースが潤沢な大企業に限定した施策だと考えられてきました。しかし最近になり、オムニチャネル化のための基盤が徐々に整えられており、中堅企業や中小企業でもオムニチャネルに取り組む姿が見られます。
今後、ECサイトと実店舗を統合することは当たり前となり、オムニチャネルが事業成功のための必須要件となっていくでしょう。皆さんもこの機会に、事例を参考にしながらオムニチャネル化についてご検討ください。
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