電子決済の「支払いのタイミング」
電子決済は、決済方式によって支払いのタイミングが異なります。電子決済を有効活用するためには、支払いタイミングについて理解したうえで、どのタイプの決済サービスを導入するかを検討することがポイントとなります。
ここでは、主な電子決済サービスの支払いのタイミングについてご紹介します。
【前払い】プリペイド方式
プリペイド方式の電子決済とは、あらかじめカードやアプリにチャージ(入金)を行い、決済時に残高が引き落とされる方式のことを言います。審査が不要であるため発行のハードルが低く手軽に利用できることや、チャージした金額しか利用できないため使いすぎる心配が無いことが特徴です。
店舗側が導入する際には、プリペイド方式の電子決済を提供する会社や決済代行会社との契約と決済用電子端末の用意が必要となります。
代表的なプリペイド方式の電子決済には、オンラインではWebMoney・BitCash・NetCash、オフラインではSuica・nanaco・PayPayなどがあります。
【即払い】ジャストペイ方式
ジャストペイ方式の電子決済とは、支払いとほぼ同時(直後)に銀行口座から代金を引き落とす方式のことを言います。口座残高の範囲内での利用となるため審査が不要であることや、現金決済と同じような感覚で利用できることが特徴です。
代表的なジャストペイ方式の電子決済には、デビッドカード・インターネットバンキング・モバイルバンキング等が該当します。
【後払い】ポストペイ方式
ポストペイ方式の電子決済とは、利用した金額分を後からクレジットカード・銀行口座等から引き落とす方式のことを指します。後払い方式となるため、利用にあたってはクレジットカードと同様に事前審査や限度額設定が必要となります。
利用限度額が大きければ高額な決済にも利用できることや、盗難・紛失時にクレジットカード会社の補償を利用できることが特徴です。その反面、利用者側としては使いすぎてしまう場合があるため注意が必要です。
代表的なポストペイ方式の電子決済には、iD・QUICPay・PiTaPaなどがあります。
日本国内における電子決済の動向
経済産業省の資料によると、主要各国でのキャッシュレス決済比率は40~60%であるのに対し、日本国内では2020年時点で約20%と示されています。国内のキャッシュレス決済比率は年々順調に伸び続けているものの、主要各国には及ばないのが実状です。
しかし近年では、日本政府は経済の活性化・国力強化に繋がるとして、国策として電子決済の推進を目指しており、さまざまな政策・施策を実施。「未来投資戦略 2017」においては2027年までにキャッシュレス決済の比率を4割程度とすること・将来的には世界最高水準である8割程度とすることをビジョンとして掲げています。
直近ではキャッシュレス・ポイント還元事業が実施され一定の成果が得られたこともあり、今後も日本国内での電子決済の普及はますます加速していくと考えられます。
【販売者視点】電子決済を導入するメリット
店舗型ビジネスを営んでいる企業の多くが電子決済の導入を進めている理由は、単に顧客に利便性を提供するだけでなく、販売者側としての大きなメリットがあるためです。電子決済の有無によって販売数・販売効率ひいては売上が大きく変わるといっても過言ではないでしょう。
ここでは、販売者視点での電子決済導入のメリットについてご紹介します。
レジ業務の効率化
販売者側が電子決済を導入することで得られる最も顕著なメリットは、レジ業務の効率化です。現金を使わず決済端末で素早く会計を済ませることができるため、非常にスムーズかつスピーディーにレジ業務を行うことができます。現金受渡によるミスも発生せず、レジ待ちも解消されるため、利便性・快適性の提供による顧客満足度向上にも繋げることが可能です。
また、電子決済では決済履歴が自動で記録されるため、レジ締めに要する時間を短縮することもできます。このようにレジ業務全般を大幅に効率化できることは、販売者側にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
新規顧客・リピート顧客の獲得
多くのECサイトが実施しているように、販売者側が多様な決済方法を提供して顧客の利便性・快適性を高めることは、新規顧客・リピーター獲得にもつながります。特に電子決済はポイント付与やキャンペーンなどお得な情報も多く、電子決済の利用者は導入している店舗を優先的に選択する傾向が見られます。
電子決済を導入している店舗はそれだけで導入していない店舗よりも集客・リピートの獲得で優位に立つことができるのが大きなメリットです。売上を向上させたい販売者としては導入しない手はないでしょう。
客単価の向上
販売者側が電子決済を提供することで、消費者は現金を持ち合わせていない場合でも購入することができるため、購入機会の増加や購入金額の増加が期待できます。そのため、現金決済と比べて1人当たりの客単価を向上させることができるのがメリットです。
実際に、数千円程度の客単価のビジネスにおいては平均1,000円程度の客単価向上に成功した事例も確認されています。
単に利便性の向上だけでなく売上の向上も図れることは、店舗型ビジネスを経営する上での大きなメリットと言えるでしょう。
顧客情報の取得と活用
電子決済の大きなメリットが、利用履歴や利用動向といった顧客情報を取得して、マーケティングや販促活動に活用できることです。
蓄積された顧客情報を分析すれば、売れ筋商品の把握や今後注力すべき商品の把握が可能となり、的確なマーケティング戦略・販売戦略を打ち出すことができます。また、利用金額に応じたポイント付与・会員ランク付与といった施策を実施することで、顧客ロイヤリティの醸成やリピート促進を図ることも可能です。
現金決済での顧客情報の収集は容易ではありませんが、電子決済ではデジタルデータとして顧客情報を簡単に収集して活用することができます。貴重な顧客情報を得られることは、販売者側にとっての大きなメリットと言えるでしょう。
【販売者視点】電子決済を導入するデメリット
電子決済は販売者にとってのメリットが多くありますが、デメリットも存在します。そのため、導入にあたっては事前にデメリットについても把握してリスクを見積もっておくことが重要です。
ここでは、販売者視点での電子決済導入に伴うデメリットについてご紹介します。
導入にコストがかかる
電子決済の導入には、初期費用・端末費用に加えて毎月の月額利用料といった導入コストが必要となります。サービスによって金額は大きく異なりますが、各費用の相場はおおよそ以下の通りです。
▷初期費用:~5万円程度
▷端末費用:~3万円程度
▷月額費用:~1万円程度
電子決済は便利なサービスではありますが、利用にあたっては相応のコストが発生することがデメリットと言えなくもありません。
決済手数料がかかる
電子決済の利用にあたっては、クレジットカードと同じく決済手数料が発生します。料率はサービスにもよりますが3~5%に設定されており、常にマージンとして発生するため利益率が低下することがデメリットです。
特に、商品単価・客単価が低い商品・サービスを取り扱う場合や営業利益率が低いビジネスの場合は、決済手数料を加味した価格設定を行わないと利益が出しづらくなるため注意が必要です。
電子決済の導入対象となる小売業・飲食業といった店舗型ビジネスは、基本的に利益率が低めである傾向が強いため、僅か数%の手数料でも大きな影響を受けます。決済手数料によっては安易に導入できないケースもある点が最大のデメリットと言えるでしょう。
【消費者視点】電子決済を利用するメリット
電子決済は、決済サービスを提供する販売者側だけでなく利用する消費者にとってもメリットがあります。販売者・消費者双方のメリットについて把握しておくと、自社での効果的な導入方法・活用方法を決めるのにも役立ちます。
ここでは、消費者視点での電子決済を利用するメリットについてご紹介します。
支払いが素早く楽になる
電子決済を消費者が利用する最大のメリットは、支払いが素早く楽に行えることです。現金決済のように現金を持ち運ぶ必要もなく、金銭の受け渡しも発生しないため、非常にスマートに支払いを済ませることができます。
現金に触れる必要が無く衛生的である点も、コロナ禍の最中である現代社会においては大きなメリットと言えます。非接触の流れは今後ますます加速すると考えられるため、電子決済の普及も進んでいくでしょう。
使用した金額を管理しやすい 電子決済は、Webサイト・アプリの管理画面上で利用履歴や残高をいつでも手軽に確認できるため、金銭管理が容易であることがメリットです。
現金であればレシートや通帳を確認したり家計簿に記入したりする手間が掛かりますが、電子決済であればお金の流れを自動で記録してくれます。
毎月の金銭管理をラクに行えるだけでなく、無駄遣いを防いだりお金の使い方を見直したりするきっかけにもなるでしょう。
ポイント還元の獲得
電子決済を利用するメリットは、ポイント還元を受ける機会が豊富であることです。例えば、次のようなポイント還元があります。
▷キャッシュレス・消費者還元事業によるポイント還元
▷カード会社・サービスによるポイント還元
▷キャンペーン・クーポンによるポイント還元
電子決済はこのようにポイント還元の機会に恵まれており、複数のポイント還元を併用する機会があれば、多くのポイントを得ることができます。
溜めたポイントは商品・サービスの購入に充てることができるため、電子決済を利用するだけでお得であることが消費者にとっての大きなメリットです。
【消費者視点】電子決済を利用するデメリット
電子決済は消費者に利便性をもたらしてくれる反面、その利便性が仇となる場合もあるため注意が必要です。ここでは、消費者が電子決済を利用するデメリットについてご紹介します。
使いすぎのおそれ
電子決済は便利で簡単に決済ができる反面、お金を使っている実感が沸かないため使いすぎてしまう恐れがあるのがデメリットです。
特に、オートチャージ機能が搭載されている電子決済や後払い式の電子決済では、意識して自分をセーブしておかないと際限なくお金を使ってしまう場合があります。ポイントが付与されることも利用者の消費行動を加速させる要因となっています。
使い過ぎにより不必要なものにまでお金を使ったり、必要なお金まで使ってしまったりしては本末転倒ですので、次のようなルール付けを行っておくのがおすすめです。
▷オートチャージをしない
▷毎月の利用額を決めておく
▷常に利用額・口座残高をチェックする癖をつける
電子決済はあくまで生活利便性を高めるために活用するものですので、現金と同じように適度に自己管理しながら活用することが重要となります。
不正利用のおそれ
電子決済は盗難・紛失などにより不正利用されてしまうリスクが伴います。原則として記名式の所有者登録を行っているタイプでないと補償されないため、不正利用には特に注意が必要です。
万が一盗難・紛失の被害に遭った際には、速やかに各電子決済に対応した問い合わせ窓口へ連絡を行い、利用停止申請を行っておきましょう。利用停止を行うことで、更なる不正利用の被害を止めることができます。また、利用している電子決済のタイプによっては補償が適用される場合もあります。
スマホを利用した電子決済の場合は高度なセキュリティが施されているため不正利用のリスクは低減されていますが、被害事例は実際に発生しています。そのため、スマホのロックや二段階認証の設定といった最低限の自衛手段を講じておくことも重要となります。
電子決済を導入する方法
ここまで電子決済についてさまざまな角度からご紹介してきましたが、実際に導入したい方や、導入方法について知りたい方もいるでしょう。ここでは、電子決済を導入する具体的な方法・手順についてご紹介します。
電子決済サービス事業者と直接契約して導入
利用したい電子決済サービス事業者と直接契約して導入を行う方法です。
複数の電子決済を利用する場合は個別に契約を結ぶ必要があり、管理の労力や入出金処理も煩雑となりますが、利用するサービスを自由に選ぶことができます。
決済代行会社を通じて一括で電子決済を導入
決済代行会社とは、電子決済事業者・クレジットカード会社等の決済事業者と利用者との橋渡しをする会社です。複数の電子決済サービスを取り扱っているため、決済代行会社を利用すれば、まとめて電子決済を導入することができます。
契約・システム構築・入出金をシンプル化できるというメリットもあります。
モバイル決済・QRコード決済サービスを利用して電子決済を一括導入
複数の決済方法をまとめて提供しているサービスを利用することで、各種電子決済を一括導入することができます。
個別のシステム開発が不要であるケースが多く、QRコードの掲示や決済端末と専用アプリなどを用意するだけで素早く手軽に導入できることがメリットです。
まとめ
現代社会では、電子決済が現金に代わる決済手段として広く普及・一般化してきています。店舗型ビジネスを運営する企業は電子決済を導入することで、決済の効率化・顧客の利便性や満足度向上はもちろん、顧客情報の収集・管理によりマーケティング活動や販促施策に役立てるなど多くのメリットを得ることができます。
また、電子決済はECサイトの決済方法としても人気が高まっているため、ECサイトを運営している事業者の方や今後参入を検討している方は、電子決済の充実を検討しておくことをおすすめします。
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