日本の『EC化率』を徹底解説!

ECが登場したばかりの頃は、インターネットで商品を売買することなど流行らないという意見もありましたが、現代社会ではECサイトは身近な存在となり、私たちの生活に当たり前のように溶け込んでいます。
ECに興味・関心がある方は、国内ではどの程度普及しているか気になったことがあるのではないでしょうか。その数字を示すのが「『EC化率』」と呼ばれる指標です。

2019年から2020年にかけては、新型コロナウイルス感染症拡大によって巣ごもり需要が増加し、国内のEC市場規模、『EC化率』も増加傾向にあります。

今回は、国内・海外の『EC化率』から、国内・海外の『EC化率』の比較、国内の業種別『EC化率』までをお話します。
『EC化率』を把握することで、EC業界の現状や今後の展望などの業界事情も見えてくるため、ぜひ参考にして下さい。

◎『EC化率』とは、全商取引のうちEC市場で取引される割合を示す指標のことです。つまり、対面販売・店舗販売・電話・FAX・ECなどのすべてを含めた商取引のうち、ECがどの程度の割合を占めているかを示すものとなります。

経済産業省によると、以下のように定義されています。
『EC化率』とは、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指します。『EC化率』の算出対象は、BtoC-ECにおいては物販系分野とし、BtoB-ECにおいては業種分類上「その他」以外とされた業種としています。

『EC化率』を把握することで、『EC化率』が高い分野であればEC活用の必要性が高く、『EC化率』が低い分野であればEC化による優位性を発揮できる等、市場分析やビジネスチャンスの検討に役立てることができます。

国内BtoBにおける『EC化率』
それではまず日本国内の『EC化率』について、「BtoB」「BtoC」に分けてそれぞれ解説します。まずは企業を対象としたBtoBにおける『EC化率』についてご紹介します。

BtoB・EC市場規模の推移

経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると、日本国内のBtoBの『EC化率』は2021年で35.6%です。以下に解説する日本国内全体のBtoCの『EC化率』を大きく上回っており、全商取引の約1/3がEC化されていることとなります。

市場規模にして約372兆円という巨大なマーケットを形成しており、この金額はEC大国である中国のBtoCのEC市場をもはるかに凌駕しています。

また、『EC化率』・市場規模ともに成長を続けており、今後も伸び続けることが予想されます。

ただし、上記のBtoBの『EC化率』及び市場規模は「EDI(Electronic Data Interchange)」と呼ばれる専用回線を用いた企業間データ交換を含んでいる点に注意が必要です。

EDIはインターネットが普及するはるか昔から活用されており、現在も残されている仕組みであるため、EDIを除いた実際のBtoBの『EC化率』はやや低くなります。

EDIは旧式のシステムが活用されていることが多く、多数の企業が抱えている課題です。そのため、業務効率化の観点からEDIのEC化に取り組む企業も増えてきています。

国内BtoCにおける『EC化率』
BtoCの『EC化率』について確認しましょう。

BtoC・EC市場規模の経年推移(単位:億円)

こちらも経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると、BtoCの『EC化率』は2021年時点で8.78%となっています。市場規模は20兆6,950億円と大きいですが、BtoB市場と比べると18倍以上の差があります。

ECサイトからの通信販売で商品を購入したり、デジタルコンテンツを利用したりすることが一般的となった感覚がありますが、実際には全商取引の1割にも満たないことが実状です。

数値化されたデータを見て見ると、日本のBtoCのEC化は想像以上に進んでいないことに驚いた方もいるのではないでしょうか。

上記は全分野を統合した『EC化率』であるため、実際には分野により偏りが見られます。40%近くEC化が進んでいる分野もあれば、3%未満とEC化が進んでいない分野もあります。

それでは分野別に市場規模を見ていきましょう。

物販系分野のBtoC EC 市場規模

物販系分野BtoC・EC市場規模及び『EC化率』の経年推移
(市場規模の単位:億円)

2021年の物販系分野のBtoC EC市場規模は13兆2,865億円で、前年から1兆532億円増加しています。『EC化率』も8.78%と、前年から0.7ポイント増加。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣ごもり需要が高まり、大幅に市場を拡大しました。2021年は伸び率についてはやや落ちるものの、引き続き『EC化率』は増加しています。

サービス系分野・デジタル系分野のBtoC EC 市場規模
サービス系分野のBtoC EC 市場規模は、前年が4兆5,832億円に対して592億円増加した4兆6,424億円となりました。デジタル系分野においても前年から3,047億円増加し、2兆7,661億円となっています。

サービス系分野、デジタル系分野のBtoC・EC市場規模の経年推移
(単位:億円)

デジタル系分野ではオンラインゲームや有料動画配信、有料音楽配信などが大きな割合を占めています。こちらも物販系ECと同様、2019年以降は新型コロナウイルス感染症拡大をうけ、外出を控える消費者が増えたことで需要が増加したと考えられます。

反して、サービス系分野では旅行サービスが大きな割合を占めています。外出自粛が推進されたことから、2020年には旅行サービスや飲食サービス、チケット販売などの市場規模が大きく縮小しました。2021年は前年と比較して市場規模が増加しているものの、まだ2019年以前の水準には戻っていません。

『EC化率』が高い業種
同じく経済産業省の市場調査を参考に、日本国内の『EC化率』が高い業種の上位3位までをまとめたものが以下の表です。

上位3業種に共通している特徴が、商品のクオリティが一定であるため商品を手に取って確認する必要が無く、ECとの相性が良いという点です。

特に、1位の事務用品・文房具と2位の書籍・映像・音楽ソフトは商品価格も安価であるため、ECサイトから購入する心理的障壁も少ないことが大きく伸びた理由であると推測されます。

3位の生活家電・AV機器・PC・周辺機器等は上位2業種と比べると商品価格は高額となりますが、国内メーカーの信頼性は高く安心して購入できる点が消費者に受け入れられたことが理由であると考えられます。同業種は『EC化率』でこそ3位ですが、分野別市場規模ではトップクラスの規模を誇っています。

『EC化率』が高い業種においては、競合企業との競争力を発揮するためにも、EC化は必須であると言えるでしょう。

『EC化率』が低い業種
続いて、『EC化率』が低い業種の上位3位についてご紹介します。

『EC化率』が低い業種は市場規模こそ巨大ですが、『EC化率』はわずか数%と非常に低いことが実状です。

これらの業種がいまいちEC化が進まない理由として「現物を確認したい商材」であるため、ECとの相性が悪いことが考えられます。特に生鮮食品を含む食品分野においてはこの傾向は顕著に表れています。

また、1位の自動車・自動2輪・パーツ等についても現物を目視で確認できない不安感や商品金額の高さが障壁になっていると推測されます。

化粧品・医薬品はECとの相性は悪くありませんが、全国隅々に点在するドラッグストアで安価に購入できるため、ECを利用すると逆に送料などが高くついてしまう可能性があります。また、化粧品については店頭で実際に試したいという考えも強く、顧客がECを利用するメリットが少ないためEC化を大きく阻害しています。

『EC化率』が低い業種については、安心や利便性を提供する工夫を行うなど、顧客がECを利用する障壁を取り除くことが今後の成長の鍵となるでしょう。

EC業界の今後
新型コロナウイルス感染拡大により実店舗型のビジネスが受けた打撃は非常に大きく、飲食・小売業界を中心とした多くの企業がEC業界に参入してきています。

EC業界は元より競争が激しい業界ですが、今後は参入企業増加により更に競争が激化していくことが明白であるため、EC事業者が生き残るにはこのような状況下でどう打ち勝っていくかが重要です。

ここでは、EC業界の現状・今後を踏まえて、EC事業者が生き残るための戦略・施策についてご紹介します。

SNSをうまく活用する
EC業界では、顧客利便性や顧客満足度を高めるために複数のチャネルを活用するマルチチャネル・オムニチャネルを実践することがトレンドとなっています。

複数チャネル活用において非常に重要となるのが、SNSの活用です。SNSは情報の発信側も受け取り側も手軽に活用できて、情報拡散性に優れていることから、ECサイトとの親和性も非常に高い媒体です。

ECサイトへの起爆動線や双方向コミュニケーションに活用することで、ECサイトの売上拡大・リピート獲得・満足度向上に役立てることができます。

ECサイト単一での運営では、厳しい競争を勝ち抜くことは難しい時代です。競合企業との競争力を高めるためにも差別化に繋げるためにも、SNSの特性・メリットをECサイト運営に活かしましょう。

越境EC化を検討する
国境をまたいだECである越境ECは、言語・法律・配送などさまざまな障壁がありましたが、近年では仕組みや地盤が整いつつあり、盛り上がりを見せている分野です。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限された影響から、海外から日本の商品・サービスを購入したいという方も増加傾向にあります。

越境ECは競合がまだ少なく、海外に拠点を構えることなく商圏を拡大できるため、いち早く参入できれば競争が激化するEC業界において優位性を発揮するチャンスだといえるでしょう。

越境EC化は容易なことではありませんが、商品・サービスのシェアが見込めるなら取り組む価値は大きいといえます。

まとめ
日本国内の『EC化率』についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。IT化社会が到来して久しいですが、メディアの情報や実生活から来るイメージよりも、日本の『EC化率』が低いことに驚いた方も少なくないのではないでしょうか。

日本の『EC化率』の成長率についても世界と比較するとやや緩やかですが、2020年から今年にかけてはコロナ禍の影響による後押しもあり、やや成長が加速しています。

多くの企業が『EC化率』を進めている2021年においては、参入企業増加によりあらゆる分野で競争が激化することが予想されます。これからEC化に取り組む企業の方は、当記事でご紹介した業界のトレンドや技術動向を踏まえつつ、ビジネスを推進していきましょう。


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