バズマーケティングとは?その基本と成功の法則を解説

バズマーケティングとは、SNSなどで口コミでの拡散を狙うマーケティング手法です。広告などのマーケティング施策と異なり、こちらからの一方通行の情報発信ではない口コミで広がっていくため、多くの共感を得ることが期待できます。

世の中にある「バズったコンテンツ」は、最初から狙って「バズったもの」もあれば、なんでかよくわからないけど結果的に「バズった」というものもあります。
本記事ではマーケティング手法として「バズる」を考え、戦略的に実行していくバズマーケティングについて解説していきます。

 

バズマーケティングとは
バズマーケティングは、偶然ではなく狙って「バズらせて」、口コミでメッセージを拡散することを期待するマーケティング手法です。

バズマーケティングの「バズ」の語源は英語のBuzzで、ハチがブンブン飛び回る様子(Buzz)とSNSで特定の話題にみんなが注目して集まっている様子が似ていることから、こうした手法をバズマーケティングと呼ぶようになりました。

SNSの企業アカウントを運用しているケースはBtoB企業でも一般的になりつつありますが、ただSNSを運営することがバズマーケティングではありません。

バズマーケティングと相性の良い目的
バズマーケティングは数あるマーケティング手段の1つに過ぎません。冒頭ご紹介したとおり、バズマーケティングは口コミで自発的に情報が拡散していくことを狙う手法ですので、この特性にあった目的の達成手段として活用されることが望ましいです。

例えば「『このお店おもしろい!私もこの料理注文して写真撮ってみたい!』と若い女性の来客を増やすためにこの料理を認知させたい」という目的あれば、バズマーケティングの手法が適していると言えます。こちらからの一方的な発信ではなく友達や自分の好きな人が実際に投稿している写真を見たり口コミを聞いたりした方が「写真を撮ってみたい」と思ってもらいやすいからです。

そうではなく、「このエリアの賃貸住宅に住んでいる子育て世帯に新しく造成した建売住宅地を紹介したい」という目的であれば、バズマーケティングよりも、ターゲティング広告やポスティングによるチラシの配布が適していると言えます。

バズマーケティングのメリット
『「バズる」と広告宣伝費がかからずに広く認知してもらえる』は、嘘ではありませんが本当でもありません。なぜなら媒体に掲載するお金や広告費はたしかにかからないケースもあるのですが、狙って企画して実行するとなるとそれ以外のコストや労力は発生するからです。

たしかに運用しているTwitterで何気なくツイートした内容が「バズる」、なんてケースであれば、お金がかからなくてラッキー!と言えますが、マーケティングとして狙って行う場合は企画が先行することが多いでしょう。バズマーケティングでも、狙いたいターゲットに刺さる仕掛けやコンテンツを用意し、最適なタイミングで最適な媒体に投じるというアプローチにおいては、他のマーケティング手法とそう大きく変わりません。

ですので、バズマーケティングのメリットを単なる支払いコストの多寡で考えるべきではないでしょう。

では何がバズマーケティングのメリットかというならば、口コミでの拡散が期待できるということです。単に幅広く認知を取るだけであれば、テレビCMの方がコスパ良いですし、属性でセグメントを切ったとしてもWeb広告の方がやりやすいでしょう。ですが、こちらからの一方的なメッセージは顧客の心にあまり響きません。同じ情報だとしても信頼している人や親しい人から聞いた方が、より伝わりますし、具体的なアクションに結びつきやすいのです。

バズマーケティングの手法としてのメリットは、「うまく行くとより顧客の心を動かしやすく、持ってもらいたい印象を抱かせやすいこと」と言えます。

万能ではない?バズマーケティングのデメリット
「バズったから、お金かからずに宣伝できた」というのは大変結構なことではありますが、たまたまで再現性がなければマーケティング手法としてはイマイチ扱いづらいと言えます。

すべてがコントロール可能で、狙い通りに進められる夢のようなマーケティング手法が他にあるかというならば、そんな便利なものはないのですが、バズマーケティングはなかでもコントロールすることが難しい手法の1つです。

広告であれば、媒体にコストを支払うことでおおよそどれくらいにリーチして、どれくらいの認知に貢献されるかを予測することができます。Web広告であれば、効果測定も容易で、出し先や出し方をコントロールしながら進めることができます。

一方バズマーケティングは、十分に検討しながら進めても、実際のところ本当に「バズる」かどうかは、どこまで突き詰めても不確実で、読めません。

ですが私たちのまわりにはバズった華々しい事例が溢れています。競合がバズっている様子を見て、「よし、自分も」と思ったマーケターは少なくないはずです。

このように刺激的でついバズりを狙いたくなり注力するのですが、あまり再現性がなく、空回りしてしまいがちなことがバズマーケティングのデメリットと言えます。

炎上について後述しますが、炎上のきっかけはバズマーケティングに限らないので、炎上リスクがあることがバズマーケティングのデメリットと考える必要はないでしょう。
もちろん発信する内容には配慮は必要ですが。

バイラルマーケティング・インフルエンサーマーケティングとの違い
バズマーケティングと似たものにバイラルマーケティングとインフルエンサーマーケティングがあります。ここからはバズマーケティングとバイラルマーケティング、インフルエンサーマーケティングの違いについてご紹介していきます。

バイラルマーケティングとは
バイラルマーケティングは、人から人へウイルスが拡散するように(Viral)情報が拡散されていくことを狙ったマーケティング手法です。ご時世的にウイルスのように、と言われると思わず身構えてしまいますが、もちろんネガティヴな情報を拡散するための手法ではありません。

口コミを狙った手法という意味ではバイラルマーケティングはバズマーケティングと同じです。ですが、誕生の時期や文脈が異なります。バズマーケティングはSNS登場以後に誕生し、シェア文化がその背景にあるのに対し、バイラルマーケティングの誕生はもう少し古く、2000年前後Eメール文化の普及がした頃で、インターネットの登場がその誕生の背景にあるという違いがあります。

Eメールが普及し始めた2000年前後、Eメールを介したコンピュータウイルスのように、情報が伝達していく様を参考にバイラルマーケティングと名付けられたこの手法は、バズマーティングのように瞬間的に多くの人の注目を集めるというよりも、もう少しゆっくり人から人へと評判が伝わっていく様を想定した手法です。

誕生の順番でいうとバイラルマーケティングの方が先なので、バイラルマーケティングのSNS版がバズマーケティングと考えても問題ないでしょう。ニュアンスの違いでいうと、バズマーケティングのほうがより人為的に狙った手法であるのに対して、バイラルマーケティングは「ウイルスのように拡散することを願い、拡散するための機能を用意する手法」と言っていいでしょう。

インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、多くの影響力を持つインフルエンサーを活用したマーケティング手法です。かんたんに言うなら、フォロワーを大量に持つ有名人を活用したマーケティング手法です。「バズる」ことを狙うバズマーケティングでもインフルエンサーを活用することがあるので、インフルエンサーマーケティングはバズマーケティングを構成する一部と言えます。

従来の有名人を活用したプロモーションは自社の広告に出演してもらうことでした。ですが、SNSが登場しその有名人が自身の発信手段を得たことで、「その有名人に自社の商品を紹介してもらう」という手法が生まれました。これがインフルエンサーマーケティングです。

インフルエンサーは広告主からの依頼を受け、自身のSNSアカウントでその商品を紹介します。場合によりますが、その商品を褒めることもあれば、中立的なコメントをすることもあります。広告主から報酬を受け取っている場合、基本的には悪く言うケースは多くありません。

一時期ステルスマーケティングが問題になりました。広告主から報酬を受け取っているのに「宣伝である」ということを隠して(ステルス)宣伝を行うというのが、顧客にとって不誠実なコミュニケーションだからです。その人が自分の言葉で発しているように見えていたのに、実は企業から報酬をもらって思ってもいないことを言っているだけだった、となるとそのインフルエンサーのイメージはもちろん、そのような手法を採った広告主のブランドイメージも悪化します。

ですので、今では「#PR」や「#宣伝」など、広告であることを明記した上で、インフルエンサーも投稿するようになってきています。


バズマーケティングの手法
狙って「バズる」にはどのような手法をとるべきでしょうか。「バズる」ことを狙ったときに、電柱に張り紙をすることを真っ先に思いつく人はおそらくいないでしょう。なさすぎて逆に「バズる」気もしてくるのが、バズマーケティングの不確実さなのですが、ここからは基本的な手法についてご紹介していきます。

SNSの活用 「バズる」とは要はSNSでたくさんシェアされることです。ですので、SNSを使わないという選択肢は基本的にありません。ありませんが、自社(自分)のSNSの投稿がバズを生み出す唯一の源泉であるかというと、それは違います。

誰かがSNSで自社の商品を共感しやすい切り口で取り上げて、それが「バズる」ということもあります。ですが、それはこちらではあまりコントロールできません。地道な商品開発と顧客との真摯なコミュニケーションが生み出した、偶然の産物です。そうしたブランド戦略やコミュニケーション戦略もバズマーケティングの一環だ、と言えなくもないのですが、そうなるとブランディングとマーケティング戦略全部がバズマーケティングになってしまうので、ここではもう少し狭い範囲の手法にフォーカスしたいと思います。

話を戻すと、意図的にバズを狙うなら、TwitterやInstagramの活用はもちろん、TikTokの利用などを検討する必要があります。
それらを利用した事例についてはこちらの記事でご紹介しています。

インフルエンサーの活用
自社からの発信だけでなく、インフルエンサーを活用しましょう。インフルエンサーマーケティングの紹介では「インフルエンサー」=「大量のフォロワーを持つ有名人」とご紹介しましたが、インフルエンサーの活用はこうした超有名人に限りません。

こうしたトップインフルエンサーは大きな影響力を持っているのですが、1人1人とのつながりが強いかというとそうではありません。むしろバズマーケティングが目指す口コミの良質な情報伝達を期待するなら、フォロワー1万人前後のマイクロインフルエンサーを複数活用する方が高い効果を得られるかもしれません。

炎上商法
炎上商法とは、SNS上で炎上することで注目を集める手法です。基本的に炎上は狙うものではなく避けるものではあるのですが、狙ってわざと炎上し、集まったトラフィックで収益を上げるというのがこの炎上商法です。

炎上で集まった注目は当然ポジティブではありません。注目される力がそのまま稼ぐ力に直結する時代だからこそ、手段を問わず注目を集めるというこの炎上商法が誕生したのですが、そもそものマーケティングの目的である「ブランドイメージの向上」などとは程遠い手法ですので、通常企業の担当者が選択することはありません。

ですが、マーケティング担当でない第三者が「炎上でもなんでもいいから注目を集めろ」という無茶なオーダーをしてくるケースは残念ながらわずかにですが、あります。

世の中の風潮に敢えて歯向かうというコミュニケーション全てが悪いわけではありませんが、こうした文脈では文字通りの炎上を含んでいますので、マーケターとしては強くNOを突きつけましょう。

「バズる」法則
バズを起こせるかは不確実で、読めません。
あまり再現性もないのですが、まるで共通点がないわけでもありません。
ここからはバズった事例から読み解く「バズる法則」についてご紹介していきます。

共感しやすい話題
誰も共感しない話題が拡散されることはありません。難解な話題が拡散されることもありません。ひと目で伝わり、思わず自分の感情も動かされるような、そんな話題が「バズる」資格のある話題です。

広告色がない
ステルスマーケティングは信頼を失うとご紹介しましたが、「買ってください」という広告がそのまま「バズる」こともほとんどありません。「○○だから買ってください」という場合は、理由によっては共感(同情)されるケースはありますが、そのときのメインのメッセージは「間違えて仕入れ過ぎちゃったドジ」なのです。
もし買って欲しい熱量を伝えたいなら、中の人の声として自然に発するのが良いでしょう。

トレンドを押さえる
流行っているものと、そうでないもの、どちらが多くの人の関心を集めやすいかは考えるまでもありません。「逆に」と考え始めるとキリがないのですが、今Windows95の話題とWindows11のどちらが話題になりやすいかといえば、新しい方です。
トレンドを押さえた話題を発信しましょう。

狙いすぎない
バズマーケティングはバズを狙う手法ですが、ガチガチに狙いまくっているのが受け手に伝わると一気に寒々しくなります。ユーザは気軽に共感したいのです。おじさんが上司に怒られながら徹夜で企画している様子なんて感じ取りたくないのです。

いかにも作り込みました、ということが伝わらないようにするように作り込む、という調整が必要なこともあります。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
バズマーケティングは万能ではありませんが、SNSというユーザとのコミュニケーションツールを有効に活用した時代にあったマーケティング手法です。
本記事ではバズマーケティングは「狙って「バズる」ことを目指す手法」としましたが、そもそも誰からも共感されなくてもいい(バズらなくていい)発信の方が少ないと言えます。
ですが、本気で狙っているのかどうかでいうと、ほとんどはそこまで本気でバズりを狙っていないですし、ビジネス上の目的が明確であるケースも少ないと思います。
顧客とのコミュニケーションとしてのSNS活用と、マーケティング手法としてのSNS活用は分けて考えるといいかもしれませんね。


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