ECサイトで使うべき決済方法は?サービスの概要と選定ポイント
ECサイトを運営するにあたって欠かせないのが、導入する決済方法の選択です。
ECサイトに導入されている決済方法にはさまざまな種類があり、自社の商材やターゲットに合うものを選ぶことが重要です。
ECサイトの8つの決済方法をご紹介します。それぞれの決済方法の特徴、メリット・デメリット、選び方についてご説明していくので、ぜひ参考にしてみてください。
ECサイトでよく利用される決済方法とは?
ECサイトではどのような決済方法がよく利用されているのでしょうか?経済産業省の「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によるとインターネットでなにかを購入する際の決済方法は以下のようになっています。
クレジットカード払いの利用は多いものの、コンビニエンスストアや代金引換、銀行の利用など、その他の支払方法も広く利用されていることが分かります。
クレジットカード以外の決済が多く利用されている背景には、情報セキュリティへの強い不安があると考えられます。インターネットの利用においては個人情報の漏えいに不安を感じている人は多く、中でもクレジットカード情報については金銭的な被害に直結します。
実際、クレジットカードの不正利用における被害額は2019年まで増加傾向にあり、ユーザーの不安を取り除くという目的においても、情報セキュリティ対策はもちろんのこと、様々な決済方法に対応しておくのが良いでしょう。
ECサイトの決済方法8つ
それでは実際の決済方法にはどのようなものがあるのでしょうか?ECサイトの決済方法は、大きく分類して以下7つが挙げられます。それぞれの決済方法の概要や、メリット・デメリットをご説明します。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、決済方法の中でも圧倒的に導入しているサイトが多いです。購入者にクレジット情報を入力してもらうだけで、決済が完了します。
ECサイト運営者にとってのメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
購入者がカード情報を登録すると、次回以降入力作業が不要となり、リピーター獲得につながる
入金の日時が管理しやすく、資金計画が立てやすいカード会社が立て替え払いをしてくれるため、代金未納リスクが少ない
デメリット
クレジットカード会社に決済手数料を支払わなければならない
システム利用料や維持費などがかかる
売上が翌月以降にまとまって入金される
カードの不正利用があった際に、ECサイト側が責任を持つ、返金の義務の発生リスクがある
クレジットカードは購入者の立場で考えると、幅広い人に浸透した決済方法であり、かつ利便性が高いので、必ず導入すべきといってもいいでしょう。
ただ、売上の入金タイミングやチャージバックなど、EC事業者として注意すべき点はいくつかあるので、理解したうえで導入するようにしましょう。
コンビニ払い
コンビニ払いは、商品の配送時に請求書やコンビニ払込書を同梱して、商品到着後、購入者に支払ってもらう決済方法です。
コンビニ払いのメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
購入者が商品到着後に支払えるため、利便性が高いクレジットカードが持てない18歳未満でも利用できるため、販売機会の拡大になる
すぐに入金が確認できる
デメリット
購入者の支払い遅れから、入金目途がつかないことがある決済代行サービスを使わない場合、審査やシステム連携などが煩雑(コンビニごとに申請を出す必要がある)
最近では、ペーパーレスコンビニ決済を導入するケースもあり、払込票の発行コストも軽減できます。
銀行振込
銀行振込は、指定した金融機関の口座に、購入者が代金を振り込む方法です。決済方法の中では歴史が長く、年配の方でも利用しやすい方法といえるでしょう。
メリット
高齢者が利用しやすいなど、商品のターゲットによっては有効な決済方法
EC事業者の決済手数料の負担がない
デメリット
15時以降の振り込みは翌日の入金になる
入金消し込み作業に時間がかかる
なお、ネットバンキングの利用により、銀行の店舗に足を運ばなくても振り込みが可能なケースも多くなり、銀行の営業時間にATMに向かえない人のニーズも満たせる決済方法になりつつあります。
代金引換
代金引換は、代引きとも呼ばれ、購入者が商品を受け取る際に、代金を支払ってもらう決済方法です。代金引換は郵便局、ヤマト運輸、佐川急便などの運送会社が行うサービスになります。
メリット
代金の支払いと商品の引き渡しが同時であるため、商品の紛失トラブルが防げる
購入者にとって、ほかの決済方法が面倒な場合に利用しやすい
デメリット
購入者の長期不在による返送や受け取り拒否のリスク
返送の際の送料や代引き手数料は、EC事業者が負担することになる
不在配達が1週間程度続くと運送会社での保管が期限切れとなり、返送や場合によっては破棄となることもあるため、その点注意が必要です。
後払い
後払い決済は、商品を購入し受け取った後に支払う方法です。コンビニエンスストアやATM、郵便局、銀行などを利用して支払うことができます。主に払込票と呼ばれる払込用紙を利用して支払います。
なお、上記で説明した代金引換も、商品受け取りと併せて支払うため、後払いの一つになります。
メリット
パソコンやインターネットがなくても支払いが可能なため、IT機器に不慣れな場合でも利用しやすい
クレジットカードや銀行口座を持っていない若年層なども利用が可能
デメリット
購入者の支払い忘れや遅延などにより、代金未回収のリスクが生じる
決済後の請求書送付や、代金回収などの手間がかかる
キャリア決済
キャリア決済は、NTTドコモ、au、ソフトバンクなど、携帯電話会社の発行するIDとパスワードを利用して、代金を支払ってもらう決済方法です。購入者は毎月の携帯電話料金と合算して、商品代金を支払うことになります。
メリット
学生など、若年層が利用しやすい
個人情報の入力が不要であり、購入者のハードルが下がる
入金通知がリアルタイムで届き、売上がわかりやすい
携帯電話会社が商品代金を立て替えてくれるため、代金の未回収が防げる
デメリット
クレジットカード決済よりも、手数料が割高(1つの商品につき1割程度)
利用可能額が低く設定されることが多く、高額商品を取り扱っているときは不向き
キャリア決済の利用審査は比較的厳しい傾向にあり、個人事業主の場合は契約が難しいでしょう。
ID決済
「Amazon pay」は、Amazonのアカウントを利用した決済方法です。購入者がAmazonにログインして決済した後、Amazonに登録している住所に配送されます。
メリット
Amazon会員をターゲットにした、ECサイト運営ができる
情報を入力することなく利用でき、購入までスムーズ
Amazonのセキュリティが利用できるため、不正注文への対策も可能
デメリット
購入者側にAmazonポイントが貯まらないケースがある(リピーター獲得にはやや不向き)
導入するためにページやシステムの修正が必要な場合がある
楽天ペイ
楽天ペイは、スマートフォンアプリを使ったQR決済と、楽天IDを利用したID決済の2つの支払い方法が可能なサービスです。
メリット
楽天ポイントがたまるため、楽天ユーザーの利用者を取り込みやすい
ログイン時のSMS認証など、セキュリティ対策が取られている
デメリット
チャージ方法が限られている
他の決済サービスと比較してキャンペーンやイベントが少ない
PayPay
PayPayは、スマートフォンアプリを使った二次元コード、バーコードにより決済ができるシステムです。
メリット
利用ユーザーが多く、幅広い利用者を取り込める
導入にあたり、キャンペーンが実施されることがある
幅広い業種で導入できる
デメリット
決済手数料無料は期間限定
PayPayを利用していない購入者は、決済ができない
d払い
d払いはスマートフォンに表示させたバーコード/QRコードを読み取ってもらうとキャッシュレスで買い物ができるサービスです。
メリット
クレジットカードの登録が不要
ドコモ回線を利用していれば携帯料金と合算して支払いが可能
デメリット
請求書払いができない
個人間の送金はドコモ携帯同士でしかできない
PayPal
PayPalは、オンライン決済や集金、送金ができるサービスです。購入者がアカウントを開設し、クレジットカードや銀行口座情報を登録すると、IDとパスワードだけで買い物ができる仕組みです。
メリット
セキュリティ水準が高い
スムーズな決済が可能
入金サイクルが早い
100通貨以上に対応しているため、海外展開やインバウンドにも対応できる。
デメリット
利用者は分割払いができない
日本円への為替手数料が高い
利用者が分割払いをしたい場合は、登録しているカード会社に連絡して分割払いやリボ払いにしてもらうことが必要です。
ECサイトの決済方法は複数設けるべき?
前項では、ECサイトの決済方法を8つご紹介しました。そこで、「ECサイトの決済方法を複数設けるべきなのか」と感じる方もいるでしょう。
ECサイトを運営するのであれば、決済方法は複数用意すべきです。これは、ユーザーの利便性を高めるために有効であり、機会損失の防止にもつながります。たとえば、決済方法が1種類しかなければ、その決済方法に対応できないユーザーは購入をやめてしまうはずです。
また、いくつかの決済方法があればユーザーは自分の好みに応じて選べるため、満足度の向上につながります。ユーザーは、商品選択から決済までスムーズに進めるECサイトを望んでいると理解しておきましょう。
決済代行サービスとは
決済代行サービスは、クレジットカード会社とEC事業者の仲介役として、審査や契約手続き、売上の入金管理などを担ってくれます。クレジットカード決済の導入で発生する煩雑な業務を代行してくれるので、EC事業者は販売業務に注力できるでしょう。
以下で、決済代行サービスを3つご紹介しますので、クレジットカード決済の導入時は参考にしてください。
SBペイメントサービス
「SBペイメントサービス」は、ソフトバンクグループが提供する決済代行サービスです。ソフトバンクグループのノウハウや実績から万全のセキュリティを整えているサービスになります。
無償のチャージバック保証やマーケティング支援プランも提供しており、ECサイトの運営をサポートしています。クレジットカード決済を含めて、20種類以上の決済サービスに対応している点も特徴です。
イプシロン
「イプシロン」はGMOグループが展開している決済代行サービスです。決済サービスの導入を最短1営業日で行えるため、素早い決済サービスの導入を考えている場合に適しています。
また、初期費用やトランザクション処理料が0円で始められるため、ECサイトの構築や事業展開が初めてでも安心して利用できます。イプシロンの加盟店の9割以上がクレジットカード決済を導入しています。なお、法人の場合は20種類の決済サービスに対応していますやトランザクション処理料が0円で始められるため、ECサイトの構築や事業展開が初めてでも安心して利用できます。イプシロンの加盟店の9割以上がクレジットカード決済を導入しています。なお、法人の場合は20種類の決済サービスに対応しています。
ゼウス
「ゼウス」はSBIグループが提供する決済代行サービスです。25年以上の実績があり、これまで400社14,000サイト以上の導入実績を誇ります。
即日審査から最短3営業日の導入も可能であり、ニーズに合わせて接続方式や課金方法を選ぶことが可能です。堅牢な決済システムや先進的な情報管理体制、24時間体制のコールセンターなども安心材料です。
クレジットカード決済や銀行決済、オンライン電子マネー決済など、さまざまな決済方法に対応しています。
ECで採用する決済方法の選び方
ここからは、ECで採用する決済方法の選び方をご説明します。決済方法を選ぶときは、以下の3点に着目しましょう。
ターゲットを考慮する
決済方法を選ぶときは、ターゲットに考慮することが重要です。
たとえば、ECサイトで取り扱う商品が家電製品など、若年層から高齢者まで幅広い購入が予想されるならば、クレジットカード決済は導入したいところです。
一方で、10代が好む雑貨を取り扱っているならば、銀行振込やコンビニ決済、代金引換を用意しておかないと、機会損失を生んでしまうでしょう。
このように、取り扱う商品のターゲットをもとに導入する決済方法を検討してください。
取扱商品を考慮する
取扱商品により、決済額が高額になるケースもあるでしょう。その場合、クレジットカード決済であれば、分割払いも可能なため、高額商品の購入に向いているといえます。
反対に数百円、数千円など、比較的少額の商品がメインとなるのであれば、そのほかの決済方法であっても問題ないでしょう。ただし、後述する手数料をふまえた決済方法の選定がポイントです。
手数料を考慮する
各種決済方法の導入や運用では、さまざまな費用が発生します。中でも注意しておきたい点は、決済手数料です。具体例をあげると、クレジットカードの決済手数料は決済金額の3~5%程度です。
コンビニ決済は1件あたり150~300円程度、代金引換は1件300円などとなっています。1件ごとの金額が数百円程度であっても、取引件数が増えると比例して手数料も増えるため、ECサイトの運営では覚えておく必要があります。
できるだけ手数料の少ない決済方法を選んだり、コストの安い決済代行サービスを使うなど、コストのシミュレーションをしながら決済方法を選んでみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ECサイトの決済方法について、近年の動向と合わせてご紹介しました。クレジットカード決済やコンビニ払い、銀行振込など幅広い決済サービスが選べるなかで、できるだけ多くの決済サービスに対応することがユーザーの利便性の向上につながります。
最終的には売上の向上にも有効です。ターゲットの年代や利用しているデバイスがパソコンなのか、スマートフォンなのかも、決済サービスを選ぶ重要なポイントです。
今後も拡大していくであろうEC市場で、時代に遅れないECサイトの構築をどうやって実現すべきか、お悩みの方はご一読ください。
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